序章:夢から現実へ
昔は「いつか自分の美容室で活躍したい」と夢を語る美容師さんが多くいました。
だからこそ、夜遅くまで技術の勉強をし、カットやパーマの練習に励むことができたのだと思います。
私は美容師ではありませんが、40年間、美容業界の裏方として関わってきました。
美容師という仕事は、人をきれいにし、心まで軽くする素晴らしい職業です。
「髪は必ず伸びるから不況に強い」と言われた時代もありました。
しかし現実は厳しくなりました。
カットやパーマ料金はほとんど上がらず、大手集客サイトの参入で掲載料が増加。
ネット予約システムの導入も必須となり、小規模サロンには大きな固定費がのしかかります。
経営者とスタッフのジレンマ
集客のために契約する。しかし利益は圧迫される。
これが多くの美容室経営者の悩みです。
さらに、労働基準法の浸透で、営業時間外の勉強会にも賃金が発生。
技術向上の場を作りたい経営者と、人件費の現実との間で揺れるのが現場です。
コロナ以降、オンライン講習やメーカー動画で学ぶ美容師も増えました。
カット専門店、カラー専門店、縮毛矯正専門店など、回転率重視の業態も拡大しています。
「早く回せ」という声が飛ぶ現場では、美容の楽しさが薄れることもあります。
それでも、技術や薬剤知識、接客を真剣に学び続ける美容師は今も多く存在します。
成功と失敗の分かれ目
私は3店舗を閉店しました。その原因は「儲けることを考えていなかった」ことです。
儲けるとは何か?
- お客様の定着
- リピート率の向上
- 顧客単価を適正に保つ
- 利益を残す仕組みを作る
利益が出れば、スタッフに還元でき、勉強の機会も増やせます。
夢だけでなく数字を見ることが、生き残るためには欠かせません。
オーナーと共に歩む道
美容室で長く活躍するには、オーナーと信頼関係を築き、一緒に行動する道もあります。
「この店でお客様がついたから自分でやる」という考えもありますが、同じ課題は必ず繰り返されます。
家賃・広告費・人件費・材料費など、経営責任は軽くありません。
信頼できるオーナーの下で、10年後の計画を一緒に描くことは、独りで戦うより強い選択肢です。
現場の学びも経営の視点も、オーナーと共に経験することで、より確実に身につきます。
私の失敗談:銀行との付き合い方
最大の失敗は、銀行を「味方」と勘違いしたことです。
最初の融資は400万円ほど。
売上が伸びると銀行担当者は「次の融資も可能」と話し、2店舗目、3店舗目と借入額は増えました。
銀行は悪者ではありません。
しかし「借りられる安心感」に頼り、儲かる構造を作らないまま店舗数を増やすと、経営は苦しくなります。
融資が通った=成功ではありません。借りられることと返せることは別だからです。
結論:技術と数字を両方学ぶ
美容室で長く働き、現場で成長するには、技術だけでなく数字や利益構造を理解することが重要です。
感情だけでなく仕組みを学ぶことで、スタッフもお客様も守ることができます。
オーナーと共に学び、行動し、経営のリアルを理解すること。
それが、美容室で生き残るための最短ルートです。
追伸
私の失敗。最大の理由を少しお伝えします。
銀行は、敵なのか。
それとも味方なのか。
実はここに、私の美容室経営における最大の失敗がありました。
最初の融資は、たしか400万円ほどでした。
保証人を付けて、ようやく借りることができた金額です。
当時は「借金は怖いもの」「できるだけ少なく」と思っていました。
ところが、店の売上が伸び始めると状況は変わります。
銀行の担当者から、こんな言葉をかけられました。
「社長、次の融資いけますよ」
「事業が順調ですね。資金、出しましょうか」
そうして、2店舗目。
さらに3店舗目へと話は進み、借入額は少しずつ、確実に膨らんでいきました。
その時は気づきませんでした。
でも、経営が苦しくなってきて、ようやく理解したのです。
銀行も、サラ金も、本質は同じ。
お金を貸して利益を出すのが仕事だということを。
銀行は決して悪者ではありません。
しかし「味方」だと勘違いした瞬間、経営者は判断を誤ります。
融資が通る=事業が成功している
ではありません。
借りられることと、返し続けられることは、まったく別だからです。
私は「借りられる安心感」に甘え、
「儲かる構造」を十分に作らないまま、店舗数だけを増やしてしまいました。
この続きは、また書きます。
これは、私自身への戒めであり、
これから美容室経営を目指す人への、小さな警告でもあります。
――続く――


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