
「エコーがうるさい。やめてくれー!」
普通のカラオケ店へ行くと、私はそう思うことがあります。
しかし、ここは違います。何が違うのかと言えば、全部です。
カラオケ機材はもちろん、イコライザー、アンプ、モニター、スピーカーまで、徹底的にこだわり抜かれています。
だから私は、あえてここを「カラオケ店」とは呼びません。私にとっては隠れスタジオです。
実際に、プロの歌手でもノーギャラで歌いに来るほどの場所です。
私は、この隠れスタジオで10年以上歌い続けています。
では、なぜ今、このブログを書こうと思ったのでしょうか。
きっかけは、自分で音楽制作を始めたことです。
自宅にスタジオを作り、曲作りを始めました。しかし、どうしても、あの隠れスタジオの音が作れません。
「なぜだ、なぜだ。」
私は少しは歌に自信がありました。しかし、それは音の良さに支えられていた部分もあったのだと気づかされました。
この経験で、歌に対する考え方が大きく変わりました。
まず磨かなければならないのは、自分自身の歌声です。
そして、その歌声を支えてくれる音に感謝しながら歌わなければ、音を作ってくれた人たちに失礼だと思うようになりました。
先日、その隠れスタジオの主人に話を聞く機会がありました。
このスタジオは、音響の専門家とも言える方が作ったそうです。
そして感動したのは、その後の話でした。
スタジオを作った方と主人は、何年もの間、音作りについて何度も喧嘩をしていたそうです。
当時は、その意味が分からなかったかもしれません。
でも今なら、その気持ちがよく分かります。
主人は正直、口やかましい人です。
それでも、「歌う人に気持ちよく歌ってほしい」という思いが誰よりも強かったからこそ、音に妥協しなかったのでしょう。
残念ながら、音作りを共にしたその方は、もう天国へ召されました。
それでも主人は今も毎日、いや数分おきに音を確かめています。
まるで我が子を見守るように。
その姿を見ていると、改めて音楽の素晴らしさ、そして音を支える人の情熱を感じます。
先日、この隠れスタジオで歌っていた時のことです。
ふと、涙が出そうになりました。
歌がうまく歌えたからではありません。
音に対する感謝の気持ちが込み上げてきたのです。
こんな感動を覚えたのは、生まれて初めてでした。
音は、ただ聞こえればいいものではありません。
その音の向こうには、何年もかけて積み重ねてきた技術と情熱、そして歌う人への思いがあります。
私は、そのことをこの隠れスタジオから教えてもらいました。
私も、もうすぐ70歳になります。
これからも、この素晴らしい音の隠れスタジオが、いつまでも変わらず残り続けてほしいと心から願っています。
……でも、店名は秘密です。
あまり有名になってしまうと、私が歌いに行けなくなってしまいますから(笑)。
黒子歌人スタジオ
もう一度、音楽の道へ
23歳の頃、私は音楽の道をあきらめました。
あれから45年。 68歳になった私が、再び音楽の道を歩き始めたのです。
きっかけは、ヤフーオークションに、かつての私のレコードが出品されていたことでした。
忘れかけていた音楽への思いが、再びよみがえりました。
そして、私は決心したのです。
死ぬまで、音楽を作り続けようと、

