
ヤフオクがきっかけで、私は音楽活動を再開した。
約1年半前、突然右手も左手も指が腫れて動かなくなった。
ゴルフクラブも握れない。
ギターも弾けない。
「もうだめだ。」
そう思った。
私はゴルフをやめた。
ゴルフクラブも処分した。
音楽機材も捨てた。
ギターも手放した。
一度は音楽そのものをあきらめた男である。
それから一年ほど過ぎただろうか。
ヤフオクで私のレコードを見つけた。
若い頃の記憶がよみがえってきた。
そして私は、最後の力を歌に託してみたくなった。
去年の秋、超初心者としてWordPressを始めた。
そこでいろいろな人や情報との出会いがあった。
そんな中で、もう一度音楽をやってみようと思うようになった。
録音機材を調べているうちに、島村楽器へ行くことを決心した。
場所は千葉市幕張のイオンモール。
そこで私は、一人の女性と出会うことになる。
チェロ弾きのゴーシュ
※チェロ弾きのゴーシュとは、私が勝手につけた名前です。
「いらっしゃいませ。何をお探しですか?」
30代後半くらいの、温かそうな女性だった。
ところが私は、調べてきたはずの機材の名前を忘れてしまっていた。
「あの~、録音する機材だったかな。ソフトだったかな。調べてきたんですが忘れちゃったんです。」
そう言うと、彼女は一緒になって探してくれた。
嫌な顔ひとつしない。
本当に一生懸命だった。
「これですね。」
彼女が見つけてくれた。
そして録音に必要な機材についても丁寧に説明してくれた。
私は68歳。
これから音楽を再開しようとしている男だった。
それでも彼女は、年齢で判断することなく
真剣に話を聞いてくれた。
場所を変えてテーブルで説明を受けながら、私は若い頃にシンガーソングライターを目指していたことや、レコード制作に関わったことなどを話した。
すると彼女も、
「私はチェロを毎日何時間も弾いているんです」
と楽しそうに話してくれた。
その言葉を聞いた時、私の頭の中にはチェロを弾く彼女の姿が浮かんだ。
後から聞いた話だが、チェロを教えている先生でもあった。
音楽を愛する人だった。
帰り際に「ありがとう」と言って店を後にした。
家に戻り、機材の勉強を続けた。
設定には苦労した。
チャットGPTと会話をしながら設定を始めた。
操作がうまくいかず、何度もAIとケンカをした。
最終的には、説明書にあったサポートを利用した。
すぐにメールが来て、設定は終了した。
過去のライブコンサートの編集
それでも少しずつ覚えながら、自宅で録音できる環境を整えていった。
そして数日後。
私は自分の音楽スタジオで編集した曲をYouTubeへ公開した。
「すごいね。」
「そんな才能があったの?」
そんな言葉をたくさんもらった。
もしもあの日、チェロ弾きの女性に出会わなかったら。
今の私はいなかったかもしれない。
前を向いているからこそ、出会いがある。
私はそう信じている。
23歳の頃、私はシンガーソングライターを夢見ていた。
しかし、その夢は遠ざかり、気がつけば45年という歳月が流れていた。
昭和の音楽と令和の音楽は変わった。
それでも私は私の歌を作っていく。
タイムスリップしたようなメロディーを作っていく。
23歳の頃に置いてきた夢を。
68歳の今、もう一度拾いに行くために。
人生でやり残してしまったシンガーソングライターの道を――。
黒子歌人
68歳から音楽活動を再開した私が実際に使っている機材やサービスをご紹介します。

